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技術解説 ブラシレスモータの基本

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ブラシレスモータの基本

この回および次回は駆動回路設計の前提としてブラシレスモータの構造や特性を概説します。

12章 ブラシレスモータ

ブラシレスモータの成り立ち

ブラシレスモータは、ブラシ付きDCモータの欠点であったブラシと整流子を省き、寿命やメンテナンス性を改善し、静音性に優れています。また、構造上の自由度が高く様々な機器に組み込み易いモータです。効率が高く省エネであることから、産業機器ばかりでなく、情報機器や、家電製品にまで幅広く使用されるようになってきました。

ブラシ付きとブラシレスモータの比較
ブラシ付きモータとブラシレスモータの比較(Comparison between brushless motor and motor with brush)
ブラシレスモータの構造種別
インナーロータ型

磁石をロータ(回転子)にし、巻線をステータ(固定子)にして外側に配置した構造です。

ブラシレスモータ構造(インナーロータ型)
この構造形式のモータは、次のような特長があります。
・回転軸のイナーシャ(慣性モーメント)が小さい
・小型化できる
・放熱性能が良い
アウターロータ型

インナーロータ型と逆に、内側にコイルを、外側に磁石を配置し外側を回転させるもので、これをアウターロータ型といいます。アウターロータ型はインナーロータ型に比べ、回転軸のイナーシャは大きいのですが、磁石を小型化する必要がなく、コイルを巻く加工も楽にできる構造で比較的低コストです。また、ロータを扁平にして、コイルをプリント基板に直接取り付け、薄型平板構造にしたモータもあります。アウターロータ型モータは、HDDのスピンドルモータやポリゴンスキャナやガルバノスキャナモータ、ブラシレスファンモータ、ドローンの動力モータなどに採用されています。

ブラシレスモータのコイル結線

一般に3相ブラシレスモータのコイル結線は、下記の様なY字型の中点を持ったスター結線にします。

ブラシレスモータのコイル結線(Coil connection of brushless motor)
ブラシレスモータは3相が主流

一般的なブラシレスモータは3相モータで、3相交流電源(モータドライバなど)で駆動します。これは回転磁界を得られる最も少ない相数が3相で配線数などが合理的なためです。最も単純な3相ブラシレスモータは2極3スロットモータです。 その他に4極3スロット、4極6スロット、8極12スロットと極数、スロット数ともに数の大きいものもあります。極とは回転ロータの永久磁石の極数を表し、N極/S極が一対で2極モータと呼びます(従って必ず偶数になります)。相とはモータを駆動するために必要な最小コイル数で駆動電源の相数と一致します。3相モータは3N個のコイルを等間隔に配置し、隣接する3個を一組にして120度の位相差、つまり三相で駆動します。スロットもまたステータのコイル数を表しますが、駆動に必要な最小コイル(3相モータの場合3個)を一組として、二組を配置した場合には6スロット(3個×2組のコイル)、四組を配置した場合は12スロット(3個×4組)になります。極数、スロット数が大きくなるほど大きなトルクが得られトルクリップルも小さくなるなどのメリットがあります。一方、モータ制御の観点では極数が2倍になると回転数は1/2倍、4倍になると1/4倍になるために同じ回転数を得るためには極数が多いほど制御回路の処理能力が求められます。

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