技術解説 オペアンプの基本
アナログ回路設計
オペアンプの基本
オペアンプとは
オペアンプ(OPアンプとも略される)はOperational Amplifier(演算増幅器)のことで回路機能は1対の差動入力と1つの出力を持ったリニア差動アンプです。オペアンプは抵抗やコンデンサと組み合わせることで足し算、引き算、微分、積分といった信号演算が行えます。
応用実例
オペアンプは、周辺回路構成で様々な機能回路に使用できます。アナログ回路(高性能デジタル回路でも)では、欠かすことのできない部品です。
- 下記によく使用される応用例の一部を挙げます。
- ●反転増幅アンプ回路、非反転アンプ、バッファアンプなどの基本アンプ
- ●加算回路、減算回路、微分回路、積分回路などの演算回路
- ●ローパス、ハイパス、バンドパスなどのフィルタ回路
- ●定電流、定電圧、電流-電圧変換、周波数-電圧変換、A/D、D/A変換などのコンバータ
- ●AM/FM変調回路
- ●正弦波、三角波発生器など
理想的なオペアンプ
あくまでもオペアンプは、実体、容量を持つモノなので下記に挙げる理想像は適わぬことですが、回路技術や半導体技術の進歩によってここ40年ほどで飛躍的に性能が進歩しています。
- ●オープンループゲインは高いほど良い(無限大)
- ●入力インピーダンスは高いほど良い(無限大)
- ●出力インピーダンスは低いほど良い(0)
- ●ノイズ無いのが最良(高いSN比)
- ●周波数特性は高いほど良い(f特の減衰無し)
- ●温度ドリフトを持たない(温特変動無し)
- ●消費電流は少ないほど良い(0が理想)
2種類の電源仕様
オペアンプは入力可能な電源範囲の違いにより、両電源(±電源)アンプと単一電源アンプの2つの種類があります。
- ●両電源とは、例えば+15Vと-15Vの極性のことなる2つの電源を使用してIC回路などを駆動するものが両電源タイプです。
- ●単電源とは、例えば+5Vの1つの電源だけで動作するものが単電源アンプです。
オペアンプ回路の構成素子の違いでの分類
オペアンプはトランジスタを組み合わせた回路であり、半導体集積回路(IC)です。
回路に使用しているトランジスタの種類別で昔からあるバイポーラトランジスタを用いたバイポーラアンプとここ20年位で急発達したMOSトランジスタを用いたCMOSアンプがあります。
バイポーラアンプの特長
- ●バイポーラアンプは、MOSトランジスタに比べて高ゲイン利得が得やすい
- ●周波数特性が高い
- ●高SN比、ローノイズである
- ●入力オフセット(電圧、電流)が小さい
- ●電流駆動能力が高い
バイポーラオペアンプは、微小信号を扱うアプリケーションや高SN比、低ノイズが求められる用途に向いています。
CMOSアンプの特長
- ●低消費電流で熱損失が少ない
- ●入力インピーダンスが高い
CMOSオペアンプは入力インピーダンスが非常に高いため、アナログセンサーの増幅アンプなどに向いています。