技術解説

ブラシレスモータドライバの設計事例(回路ブロック編)

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技術解説 誤動作の防止 3

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ブラシレスモータドライバの設計事例

(回路ブロック編)

誤動作の防止 3

ノイズ対策

前回までは信号のタイミングによる、特に非同期信号の処理を中心に説明しました。今回は電源ラインのノイズや外部からの入力ラインに乗る過電圧などによる誤動作を防止します。

MCU、MCD、IC(ロジックIC)の動作安定化

ディスクリートのCMOS ICは、出力電流駆動力が高く比較的増幅度が高いので電源ノイズによる誤動作を起こしやすいため各ICの電源端子の近傍に、ノイズ吸収用のバイパスコンデンサを必ず入れます。もちろん、電源電流の変化が大きいMCUやMCDにもバイパスコンデンサは必要です。

MCU、MCD、IC(ロジックIC)の動作安定化回路図
●VDD電源部バイパスコンデンサ:
C17,C18,C19:積層セラミック1000pF 耐圧≧16V(0402)
電源電圧に注意して耐圧値に注意する。
実装面積と部品単価、調達性にも配慮する。
外部アナログ電圧入力の過電圧保護

本モータドライバ(PLD-100)は、アナログ入力端子による速度制御モードを設けてあります。またコネクタを通じて上位コントローラなどの外部機器と接続されるケースもあります。これらの外部機器は多くの場合、モータドライバの電源と共用されることは有りません。もし、外部電源値がドライバ内の電源よりも高い場合にMCUのアナログ入力(AIN)やその他の端子に接続された場合、MCUの寄生ダイオードを通じてVDDラインに電源が供給される可能性があります。この結果MCUが意図しない不定な暴走動作を起こす可能性があります。

これを防止するためにツェナーダイオードを用いてVDD供給定格電圧(3.6V)を越えない様に電圧クランプさせる仕組みを施します。

外部アナログ電圧入力の過電圧保護回路図
ポイント

ツェナーダイオードのツェナー電圧にはバラつきがあります。例えばVDD標準=3.3Vの場合にVZ=3.3V±10%のツェナーダイオードを使うえばMCUの最大定格を超える事は有りませんが、例えばVZ=3Vのツェナーダイオードが実装された場合、アナログ入力の入力範囲が0~3Vに狭められてしまいます。アナログ入力電圧範囲と電源電圧の両面からツェナーダイオードを選定する必要があります。

●ツェナーダイオード:
D2(VZ=3.3V±2%): MM3Z3V3ST1G ON semiconductor製 (SOD-323)
基板面積に配慮し、小型SMDパッケージ(SOD-323)のものを選択